白金ディスコを録った時

スマホとPCのストレージが白金ディスコの関連動画で埋め尽くされている。これを消そうと思うので、少し今回のことを思い出そうと思う。いや、できる限り思い出そうと思う。残念ながら娯楽的な文章にはならないと思うのであしからず。

なぜこれをやったのかというと、昔録音した白金ディスコをリミックスしていた。しかしギターの音が良くなかった。演奏に不満はなかったが、マイクの位置が良くなかった。当時はそんな概念なかったからしょうがないのだが。色々ミックスしたが心のもやもやが消えなかったので、もう一度録り直すことにした。

当初の目論見では1日、もしくは2日のうちに全行程をこなせるだろうと思っていたが、結果は結構がっつりやって1週間かかった。

次の日、俺の廃屋スタジオへやってきた。電気も水道もないただの廃屋である。最近雨漏りがひどく、木が腐ってかなりのサイズの配電盤みたいなものが屋根から落ちた。ここにいる時に地震が来たら間違いなく俺は死ぬだろう。この建物は修理できる領域からはだいぶ前に過ぎ去っている。潰れるのを待つだけだ。

まずギターを録音した。クリックは使わないで、ギターを良い感じに弾くのだが、この『良い感じ』の部分が難しい。なんて説明すれば良いのかわからないけど、脳の使える部分を10だとすると、歌4ギター6くらいの割合で使う。正確にはこれにマイクの位置、どれくらいの強さで弾くか、レックレベル、コード進行、鼻かゆい、など邪念もコントロールする必要がある訳だ。天才と言われる人たちはこういう情報を無意識の領域で処理してしまう人たちではないかと思う。俺にはできない。意識的にコントロールできる部分を労力を惜しまず、良心的に処理するのが性に合っている。天才が完全にリラックスしている状態なら俺は完全に緊張している状態で物事を処理している。胃がんに適した男なのだ。

この日は調子が悪かった。このギターの部分がすんなりいかなかった。すんなり行く時はすぐに終わるのだが、この日はそうもいかず、何回も録り直した。見事に悪い方のツボにはまり、何回録ってもだめだった。こうなったらしょうがないので、秘技を使う。秘技『できるまでやる』である。

↑秘技できるまでやる

次やったらコーヒーを飲んで休憩しよう。次やったらトイレに行こう。次やったら、という感じで永遠に続けていたら、よしこんなもんだなというテイクが録れたのでようやく少し休んだ。この日は蒸し暑く、おでこにあせもが出来ていた。

コーヒーを飲んだ。コンビニのコーヒーはどこもちゃんとイマイチの味がする。タバコを吸った。2、3年ぶりに吸った。とくに美味くもないし不味くもなかった。舌がチリチリした。

次はタンバリンを録る。昔甥っ子が海から拾ってきたものらしい。せっかくなので最近良く使う。いつもは割と適当に叩くのだが、なぜか今回は真面目に考えて録った。俺は生まれつきリズムというものに困ったことはない。ドラムだけはいつも考えずにできる。でもギタリストというのが俺らしい。楽器のチョイスを間違えたのだ。

さてタンバリンも録り終えた。タンバリン奏者のことをなんて呼ぶのだろうか。タンバリニスト?タンバー?タンバさん?とにかく俺は最近それなりにタンバリンを使っている。

タンバリンは以外と音が大きい。そして最初になぜタンバリンをくるっと回したのかは俺にもわからない。

この辺りで俺の体力と精神力は底をつき始めていたのだが、次いでボーカルも録った。あとで反省したのだが、ここで一旦休むべきだった。一度家に帰って眠るべきだった。だが、おもしろいのでやってしまった。タンバリンが入ってグッと良くなったので楽しかったのだ。

さて、ボーカルの録音もかなりの重作業である。俺はいつも録音した音はいじらずに音を重ねていくのだが、今回は丁寧にボーカルを録るつもりだったので、ピッチのズレを確認できるように音を少し整理した。

次に歌い方を探った。俺は声がかなり高くて鼻にかかる声をしている。そのなかで、うまい感じにハマる歌い方を探した。下腹部にどれくらい力を入れて力加減を調整した。一度心が揺れて低い声で歌ったが全然良くなかった。

マイクと歌う位置も探った。なぜだかマイクの左斜め前で歌うのが良かったので今回はそこで歌った。そしておでこの汗疹が痒くて辛かった。

これはカメラに映っているかの確認。こういうどうにもならない動画がスマホのなかに無数にある。

もろもろ微調整をしたので、できる限り丁寧に歌った。そしてこの時録音したテイクを使うことにした。次の日もボーカルを録ってみたのだが、良くはならなかった。

次はコーラス部分を録ることにした。コーラス部分は正直行き当たりばったりで、浮かぶアイデアをぶち込んだ。というか、このあとの部分は全て行き当たりばったりだった。浮かぶアイデアをとりあえず録音したら悪くなかったので、全て使った。

この辺りでPCがノーバッテリーで限界を訴えてきたのでこの日は終わった。まだやりたかったけど、俺も限界が近かったのでちょうど良かったのだと思う。

続きをやる。ギターソロをやった。ソロはいつもその場で考えてやる。始めは1本だけ入れれば良しと考えていたが物足りなかったので2本目を追加した。ちなみに音源左に振ってある方を先に作って、2本目が真ん中にあるやつだ。

最後のサビは色々ぶち込んであとで整理しようと思ったのだが意外と良かったので全て残した。

あとはもうよく覚えていない。一番最後に最初のサビ終わりのごちゃごちゃ喋ってる部分を録音して終わった。この辺りではもう楽しさも半減していたと思う。どんなに素敵な時間もずっと続けばうんざりしてくるものだ。もちろんこの文章を書く事にも飽きてきた。

色々録り終えたが、ここからも長い。MIXして、動画を作っていく。この部分はいつも通りなので振り返る事もしたくない。MIXについては特に何もしていないところが気に入ってる。ただ音を鳴らして、少し整理しただけだ。結局それが一番なのだ。楽器の音が一番美しい。

とにかく、予想に反して長い道のりとなってしまったが終了である。

最後になぜこんな事をしたのか自分で考えてみたが、ただやりたかっただけである。音が重なっていくのがあまりにも楽しかった。やりたいという情熱はなかなか凄いエネルギーである。

The Corydoras IMG